パワハラの申し立てがあった場合、その組織はまず事実確認に努めなければなりません。被害者とされる人物の主張だけでなく、加害者とされる人物や関係者に事情を聴取し、指導記録や日報、タイムカード等も調べ、必ず事実関係を把握する必要があります。推測でパワハラと決めつけて懲戒処分を行った場合、不当な処分によって損害を被ったとして訴えを起こされる場合もあります。
特定社会保険労務士である山本多聞氏はご自身のサイトで以上の趣旨の事を述べておられます。
特定社会保険労務士 山本多聞氏のサイト (2018年10月30日に山本氏の許可を得て転載)

一方、パワハラ事件に対する近年の過剰報道により、組織の社会的信用が崩壊するケースが増えています。この事に怯えた組織は事実確認を怠って、あたり屋の言うままにパワハラを認定し、早期の解決を図ろうとするかもしれません。しかしこれは、パワハラ過敏症と呼ばれる、大変危険な事なのです。

事実確認を怠り推測でパワハラと決めつけた場合、パワハラ冤罪を生むだけでは無く、組織のこの対応は、逆に加害者とされる人物に対するパワハラと考えられる場合もあります。パワハラ冤罪が生むパワハラです。そしてこの逆パワハラは管理職を萎縮させる事になり、組織を着実に蝕んでいきます。

パワハラかどうかの判断は慎重かつ明確に行う必要があります。